天井の龍

天井の龍
てんじょうのりゅう

禅宗寺院の「法堂」の天井のことですね。現在は仏殿を兼ねている場合もありますので、「仏殿」に描かれているといっても間違いではありません。なぜ「法堂」の天井に龍の絵が描かれているのかといいますと、「龍」という霊獣はお釈迦様と非常に縁のある動物だからです。お釈迦様が生まれたときも天から2匹の龍がお祝いに駆けつけました。またお釈迦様35歳、悟りを開かれたときにも、その上空で雨風からお釈迦様を守ったといわれています。また、龍は仏法を理解することができる数少ない動物ですので、お釈迦様の説く教えを聴きにやってきているのだと解することもできます。つまりお釈迦様や仏教の守護獣であると共に、仏教の聴講生でもあるのです。だからお釈迦様の頭上である天井に描かれているのです。実は「法堂(仏殿)」にはほとんどの場合、お釈迦様が祀られているのです。お釈迦様を中心に、その両脇は「迦葉尊者(かしょうそんじゃ)」と「阿難尊者(あなんそうじゃ)」でいずれも十大弟子(お釈迦様特に優秀な10人の弟子たち)のメンバーです。よく、龍は水の神様だから、火災除けのために描かれているという説明を聞きますが、その理由も多少はあると思います。でも、それなら別に天井でなくてもいい、法堂や仏殿に限らずとも木造の建物なら、どこで描かれていてもおかしくない。ということになります。龍とお釈迦様の素敵な関係を理解していると、天井に描かれた龍の謎が解けるのです。

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