蟇股と懸魚

蟇股と懸魚
かえるまたとげぎょ

「蟇股(かえるまた)」と「懸魚(げぎょ)」。どちらも日本の古建築に欠かせない部材で、寺院だけでなく、神社やそのほかの建造物に使われていることもあります。中でも「蟇股」は日本建築独特のものであり、梁(横の柱)と梁の間に挟まり、屋根の力を下に伝えていく役割を果たしています。カエルの股のように見えることから、その名がつきました。また「懸魚」はどうやら中国から伝わってきたようで、現在でも雲南省の民家には魚をデザイン化したものを屋根に付けているようです。屋根の妻(端)の大棟の端、手を合わせた形に見立てますと、ちょうど中指同士がくっついた辺りに、不思議なものが懸けられています。屋根のデリケートな部分から雨水が入ったり、その部分の腐食を防ぐための実用的な意味があるのですが、実はそのデザインのルーツは魚です。「カエル」も「魚」も水に住む生きものですので、防火の意味が込められているようです。

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