方丈・庫裏

方丈・庫裏
ほうじょう・くり

「方丈(ほうじょう)」はもともと1丈4方の建物という意味で、昔インドで在家ながら仏教を深く信じていたという、維摩居士の住んでいた家がモデルとも伝わっています。その後は正方形ではなく、長方形の5、6室を持つ簡素な建物として発展し、それぞれの部屋の役割が決まっていました。例えば、仏像や位牌を安置する「仏堂」とその前には勤行をするための「室中(しっちゅう)」。また玄関に一番近い部屋は応接室である「礼(らい)の間」。その「礼の間」から「室中」を挟んで、隣にある部屋が「檀那(だんな)の間」こちらは、お寺の檀那つまりスポンサーをお通しする特別応接室、つまりVIPルームなのです。また「檀那の間」の奥の部屋は「衣鉢(えはつ)の間」。師から弟子へと、法統を継ぐ(免許を渡す)ための儀式が行われたことに由来します。残った最後の部屋は「書院」。ここは住職のささやかな書斎兼執務室。ひとつの建物を南北に、そして東西中と区切り、実に合理的に部屋の役割分担がなされていると思いませんか。また「庫裏(くり)」とはお寺のダイニングキッチンであり、住空間でしたが、現在は事務所として使用されているケースもあります。

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