まねき上げと勘亭流

まねき上げと勘亭流
まねきあげとかんていりゅう

近年、南座の顔見世は毎年11月30日に始まり、12月26日まで開かれます。初日の前には劇場の正面にその年の主だった出演者の名を1枚ずつ墨で大書した「まねき」看板を2段重ねに飾りつけます。これをまねき上げと呼び、11月25日前後に20人ほどの鳶(とび)職の手で一晩かけて青々とした竹矢来(たけやらい)にしっかりと取り付けます。翌朝、劇場の支配人らが正面玄関前で清めの塩をまき、興行の無事と成功を祈願する行事も長年の習わしです。まねきの字体は歌舞伎独特の勘亭流(かんていりゅう)で、1字1字、太く丸く隙間(すきま)のないように書くのが特徴で、お客を劇場にぎっしり「まねき」入れるという意味が込められています。一枚の大きさは長さ180センチ、幅30センチ、厚さ3センチ。桧(ひのき)の一枚板。毎年、表面を削り、水洗いして4年くらいは繰り返し使います。最近でこそ資源保護、リサイクルの重要性が再認識されるようになりましたが、伝統芸能の世界では昔からこうして「まねき」の板1枚にも心血を注ぎ、大切に扱ってきたのです。

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