国宝もある社寺の能舞台

国宝もある社寺の能舞台
こくほうもあるしゃじののうぶたい
京都の社寺には古くから常設の能舞台を持っているところが少なくありません。とりわけ南北二つの能舞台がある西本願寺が有名でしょう。この内、北能舞台は現存する日本最古の能舞台で、国宝に指定されています。ここでの演能はめったにありませんが、簡素で古式なたたずまいに特徴が見られます。一方の南能舞台は重要文化財です。北に比べ見所(けんしょ)も広く、毎年5月21日の宗祖・親鸞(しんらん)の降誕会には祝賀能が催されます。二つの能舞台とも西本願寺の春法要(4月13日から3日間)の期間のみ一般公開されており、見学のチャンスです。ほかには四条通を東に突き当たったところの八坂神社。境内に常設された能舞台は小振りですが、毎年、正月に観世(かんぜ)流や金剛(こんごう)流による「翁(おきな)」の奉能があり、初詣での参拝客でにぎわいます。春秋の季節のいい時分にも若手能役者のリサイタル能などが催されます。また伏見の御香宮(ごこうぐう)神社にも常設の能舞台があり、初秋の薪能の催しが人気を呼んでいます。