能の楽しみ方

能の楽しみ方
のうのたのしみかた
お能というと、何だか敷居が高そうですが、実際に見物してみると、決してそうではないことが分かります。「食わず嫌い」ということばがありますが、一般的には能もまたその一つと言えるかもしれません。能楽堂に入って、席に着くと、まず最初に耳にするのが囃子(はやし)方の「お調(しら)べ」です。クラシックだと、指揮者の登場の前にコンサート・マスターが立って、音合わせをしますね。能の「お調べ」は笛、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)を受け持つ囃子方が揚幕(あげまく)の中で音色を奏で、めいめいに楽器の調整をするのです。だから、洋楽の音合わせとは意味が違いますが、お客にとってはブザー代わりに「これから始まりますよ」といった合図の働きをしてくれます。能は初めての人でも笛や鼓の音色はいつか聞いた覚えがあるはずです。そう、お祭りでね。きっと郷愁をかきたててくれることでしょう。「お調べ」の音が聞こえてきました。入門の扉をそろりと開けることにしましょう。