たて花

たて花
たてはな

たて花(はな)とは、「真(しん)」と「下草」で構成される花です。「真」は「心」とも書き、本木とも呼ばれ、室町時代の終わりごろにできた立花(りっか)のもととなる一番古い様式です。たて花の名手として、池坊専慶(いけのぼうせんけい)や将軍家に仕えていた同朋衆(どうぼうしゅう)の相阿弥(そうあみ)や文阿弥(もんあみ)の名が挙げられます。同朋衆は、当時の座敷飾りの方法をつかさどる集団で、絵画をはじめとする調度品、芸術品を扱う専門家の寄り集まりでした。その中に花を専門に取り扱う者もおり、彼らによって座敷に飾るたて花が、今日まで続く様式のもとになりました。室町時代後期の戦国の世にあって、花の上手として知られていた池坊専応(せんおう・せんのう)は、美しい花をのみ賞賛する従来のいけばなに飽き足らず、風興(ふうきょう)をもととするいけばなを主張して「華道」をひらきました。それは、専応がのこした『専応口伝』の「花瓶に花をさす事いにしへよりあるとはきゝ侍れど、それはうつくしき花をのも賞して、草木の風興をもわきまへず、只さし生けたる計なり」という文章から推察できます。

「京の用語集」一覧に戻る