にわ

京町家にはたいてい「通り庭」という土間の通路が縦に走ります。この通り庭は単に通路としての役割だけでなく、その上部分を高くして、天井を張らず、木組を大胆に見せることに、外光を取り入れます。また風の通り道としての役割もあり、夏場は土間の湿気が放射冷却現象で、気温を幾分低くするため、夏場はしのぎやすくなります。また通り庭のどんつき(突きあたり)には土蔵があって、その前には「裏庭」と呼ばれる屋根を張らない空間もあり、そこで洗濯物を干したり、商売道具を日干ししたりしていたという話も聞きますね。

また通り庭や裏庭とは別に、大きな京町家では部屋と部屋の間の小空間に「坪庭(つぼにわ)」を作っているところが多く、ここは土間ではなく、土や砂を入れて植栽をあしらい、灯籠や手水鉢(ちょうずばち)を置き、小さな庭園になっています。ひと坪程度のミニ庭園ということで「坪庭」と呼ばれるようになったのでしょう。またこの「坪庭」も観賞用のためだけに作られたのではありません。この坪庭が外気の温度を敏感に受け入れ、周りを囲む部屋との間に温度差が生じ、空気が流れるようになるのです。つまり自然のエアーコンディショニングというわけです。

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