町家の現状

町家の現状
まちやのげんじょう

さて現在、京都市内には町家と呼ばれる家屋が一体何軒あるのでしょうか? 5万軒とも10万軒ともいわれますが、その実態はまだはっきりとはしていません。またその内の200軒~300軒が、年々姿を消しているといわれています。

一般に町家は人が住まないと、どんどん廃れていくといわれます。実際に商売をし、客人を招き入れ、家族が住み、煮炊きをし、掃除をし、手入れや補修をし、人の息づかいがあって、初めて町家も生きているのだということです。また、町衆はこの町家の座敷でお茶やお花の稽古(けいこ)に励んだり、また三味線や尺八など楽器の稽古もつけてもらったり、文化を醸成する場でもありました。歌会や茶会を催すなど文化を発信している場合もあるでしょう。そんなマルチスペースとしての町家を何らかの理由でしばらく、留守にしていたため、傷みが進んでいるという例も頻繁に発生しています。修理を施すべき個所には手を加え、再生を期待しなければなりません。しかし、経済的な事情などによっては取り壊すことを余儀なくされることもあるのです。

また保全に関しても、そのまま文化財として、博物館のように、人が入らず単に保存していくのではなく、商売や生活あっての町家ですから、本来の京の町衆の商習慣や風習が感じられてこその町家だといえるでしょう。「職住一体」「文化の発信源」としての町家の良さを再認識したいものです。

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